キレイなソラありました

朝起きて、仕事へ行き、夜に帰る。
漠然とした日々の繰り返し。

看護師である由利は、この日、医療事故を起こしかけた。
幸いにも、上司の判断で回避でき、そのまま気づかれなければ大きな事故になっていた。

あぁ、私 何してるんだろ。
私なんて、居ない方がいいんじゃないのかな…。
私がいなければ、そもそも あんなミスも無かっただろうし、患者さんが危険な目に合う事も無かった。
もし、あの時、上司がいなかったら…。

由利の頭によぎる言葉は、患者さんの命を危険にさらしてしまう可能性があった現実。
どこか、今のままの自分では、いけないという漠然とした葛藤からくる不安で押しつぶされそうであった。

自然と流れる涙ー。 

その涙には、ごめんなさい。という想い。悔しさも、情けなさも、不安も、立ち行かない、自分自身のもどかしさ。そして、圧倒的にくる、自分自身の無力さ。
色々な感情が溢れてくるごとに、1粒、また1粒と落ちていく。

呼吸が荒くなり、声を出して泣きだしたい位だったが、声を殺して泣くのが、今 由利にデキる精一杯の状況だった。

そんな由利に、一人の女性が声をかけてきた。

「あのぉ? 大丈夫ですか?」

そこには、茶髪のロングヘアー、夏色に焼けた女性が立っていた。

由利は、涙で腫れた目を隠すように、手で顔を隠しながら、その隙間から女性を見る。

「あれ?! 由利じゃん! あんた何してんの?こんな所で」

その女性は、近所に住む幼馴染の小百合だった。

小百合は、家が隣で、小さい時からの幼馴染。 小百合にはお姉さんがいたのだが、何かと妹扱いされる 小百合は、自分にも妹が欲しい。という事で、隣に住む私を同い年なのに、妹として接していた。

「私は小百合、あんたは由利。 私の方が3文字だから お姉さんって呼んで。」
「同じ ゆり って言葉があるんだから、家族みたいなものよ」

いつも元気で、負けん気が強い小百合に対して、私はあまり人前に出るのが苦手な性格。
勉強は私が小百合に教え、運動は小百合が教えてくれた。 いつも一緒でまるで本当の姉妹のように。

小学生の時に、私がクラスの男子にイジメられた事を知って、小百合は掃除道具箱から、ほうきを持って、男子に殴り掛かった事もあった。

先生から事情を聴かれたとき、小百合は頑なに、1つの言葉を繰り返していた。

「姉は、妹を守るもの」

私を妹にしたという話を食事の時にしていたら、小百合のパパから言われた言葉らしい。

そんな小百合は、今は大阪市内で自分のサロンを作り、経営をしている。
今日は、休日だったので、夜ごはんを買いに来ていたのだという。

「それより、あんた なんでこんな所で泣いてるのよ? 誰かにやられたの?! えっ痴漢?!」

一人で、どんどん 怒りで興奮状態になっている小百合に、事情を話した。

あははははっ!

周りの人が、驚くほどに小百合の笑い声が響く。

「あんた!そんな事で、自分が居ない方が良いかもなんて思ってんの?!」

少し馬鹿にされた感じに、由利はムッっとした。

「そんな事って言っても、一歩間違えたら、とんでもない事になってたんだよ!」

由利はその事故の重要性を少しでも小百合に伝えたく、涙でメイクが崩れている事など気にもならないほどに必死に訴えた。

それを全部聞いた後、小百合が話し始めた。

「とにかくさ、その涙でぐちゃぐしゃになった顔、もうちょっと上げて、空見てみ。
キレイでしょ。」

そこには、太陽が沈み、夜のとばりが下りる前、雲がオレンジともピンクとも言えない淡い色に光り、遠くには月が光る。
幾重にも重ねられた夜の空は美しく、雲が作る陰影は、そんな空にアクセントを与える。

「下を向いてたら、涙は落ちていくけど、上を見上げてれば、涙はこぼれないよ」

「この空の美しさって、多様な色が重なって表現できる訳じゃん。
どの色が無くなってもダメなんだよねぇ。
こうして、目に映る全てのパーツ、オブジェがあるから、その隙間から見えるから美しさを感じられる訳」
光を発する太陽もあれば、光を受ける空と、雲、建物、線路がある。

何か1つだけが完璧でもダメなの。 色んなバランス良くあってこそ美しさがあるんだよ。

あんたは、看護師として、まだまだかもしれない。
でも、失敗も含めてあんただし、あんたを含めての病院だし、あんたを含めての社会だし、あんたを含めてのこの世界なんだよ。

あんたが居なくて良いという事にはならない訳。

ミスをしたなら、ごめんなさいをしたらさ、それ以上できる事ないでしょ?
経営者じゃないんだからさ、あんたがミスれば、責任は責任者に取らせたらいいのよ。
その為に、責任者 って名前があるんだから。

それに、あんたが辞めた所で、きっと誰かが同じミスをやる。
あんたがデキる事は、職場を辞める事じゃなければ、泣きながら弱音吐いてる事じゃないじゃん。
失敗した。その経験を次の後輩に伝えて同じミスが発生しないようにすることじゃん。
あんたは、それを伝えられる経験を得たって事だよ。

あんた、看護師になるって決めた時に、私に色んな人たちの健康を守りたいって言ってたじゃん。

「守る」って、何かと戦ってるって事でしょ?
あんたは、患者と一緒に、その病気とか、いろんなものと戦ってるんでしょ?

戦いって、常に連勝できるわけじゃないだろうし、時には負け、負ければどうやったら、次は勝てるのかって考えるの普通じゃないの?

なのに、今のあんたは、1敗したから、私には、戦う資格が無いんだって言ってるようなもんじゃん。
一流のアスリートだって、そんな連勝なんて、無いよ。

それでもなお、泣きじゃくるんだったらさ、もうあんたは、その仕事向いてないよ。
転職しな。

小百合の言葉を聞いている内に、由利の涙は完全に止まった。

言われて、はっと気づいた。 私が今の仕事をしようと努力してきた事、何をしていたのか。
漠然とした日々の繰り返しにしか感じなかった。
もちろん、日々進化する、医療技術の勉強はする。勉強会も学会も出席したりもする、でもそうじゃない。より、リアリティーのある、ヒアリハットを経験した直後なのだ。こうしてられない!

由利は急に、泣いていた自分が馬鹿らしく感じた。

小百合!ありがとう!ちょっと帰って、今回の事故の詳細をまとめてみる!!

何か分からないまでも、使命感のようなモノが沸々と湧き上がってきた。

そんな私に、小百合は1000円札を握らせて言った。

涙で救えるのは、あんた自身しかいない。
でも、それはあんたの望む事じゃないんだろ? 

今自分がデキる事に全力注ぎな。ただ、その前に!
今、ちょっと手持ちがないけど、とりあえず、1000円で買えるだけのアイス買いな!
女子はやっぱり、考え事する前にスイーツは大事だろ?!特にあんたはね。

そういって、小百合は家に戻った。

スーパーでハーゲンダッツを3つ買った帰り、もう一度、空を見上げてみる。

さっきよりも、少し暗くはなってはいるが、以前と美しい夜空。
時より吹く風が、由利の涙を乾かした。


(*’ω’*) って感じの
小説にありそうな
空じゃない?!

って思って、スクールの前の踏切渡歩きながら写真撮ってみました。

ただ、それだけを言いたくて、即興 小説を書いてみる。

(/・ω・)/ おぅ!文才は無いから、そこあまり突っ込まんでくれる?
あくまで、写真キレイだよね!を言いたかっただけの文章だから( ´ー`)フッ

ちなみに、二人のイメージはこんな感じを想定していました。

(/・ω・)/ 最も、実用書しか読まないから、小説って1度も読んだことないんだよ。
あくまで、こんな感じの書き方なんじゃねぇの??

というイメージで書きました。
なので、小説ガチ勢の方、申し訳ございません。小説の文体も物語も、完全な、私の 即興イメージでしかありません。

ちなみに、音声化してみました。

(/・ω・)/ それ最初にださんか~い! って思った?
感情入れたりする感じが難しい…。 まだまだ練習だな。

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