私の世代には無かったけれど、今の世代には受け継がれている、職業体験。
中学生が働くという事について現場に出向いて働く事に触れるというのが、文科省推奨の『職業体験』というモノがあります。兵庫県では、これを『トライやる・ウィーク』という名称がついているらしい…。
義務教育そのものが、中学校で終わる事になるので、中学卒業後に就職する子もいる訳で中学生の間に、体験するというのは良い事かもしれません。
私が、出張で幼稚園に行ったときなどには、幼稚園で子ども達と触れ合う中学生を時々見た事があり、そんな感じなんだというのは遠目でみておりました。
そんな職業体験ですが、このコロナ禍の中で、現場に出向くという事がなくなり、これからも無いでしょうけれども…。子ども達が仕事について学ぶという機会が減ってしまった訳で、そこで座学としての働くという事についての講義について、依頼を受けてこの度、やってまいりました。
目次
依頼内容が結構ハードだった
担当の先生から、この講座の依頼内容を頂いた時に、そもそもこの講座の目的が多岐に渡る内容で
- 勤労の楽しさと辛さの体験、それを乗り越えた時の達成感
- 親への感謝の気持ちを育てる
- 対人関係の大切さを知る
- 社会生活上のルールや基本モラルを育てる
- 自分の適性をしり、将来の進路を考えるキッカケとする
という事が書かれていた訳です。この講座に呼ばれる他の講師は、看護師、エステティシャン、ネイリスト、警察官…と何人かいるのは想定していたけれど、この人たちが、この内容の全てをカバーする事なんて絶対できないと思いましたし、それを仮に現場に実際に行って体験した所で、そんなものを理解できるはずが無いと思いました。
当然、それぞれの職業という立場から、こんな仕事だよ~とか、ちょっと体験してみようか…的な内容になるんじゃないだろうかと思った訳です。
だから、あえて私は
この5項目全てをやってやろうと思いました。
だって、クライアント(先生&学校)の依頼がそれなら、それを超えてい提案してこそ、当たり前だろうと思っているからです。
この5項目をやる。 それ自体は全然問題ない。 ただ、問題となるのは、これを行う時間
たったの2時間(50分×2回)実質100分しかない!
( ゚д゚ ) えぇ!!
これが一番難易度が高い!!
さらに、座学だけでなく、そこに 子ども達が『体験』という内容を入れなければならない。
( ゚д゚ ) えぇ!!
2時間でも人生や目的意識を変えさせる
2時間…。 たった2時間…。 だらだら喋ったらすぐに終わってしまう2時間。
金曜ロードショーみてたら、直ぐに終わってしまう2時間…。
でも、2時間で託されたのは、私と時間を共有する子ども達の人生を変えさせる程のインパクトを与えるという課題なのなら、それを応えなければならない。
という事で早速PowerPointで60枚相当の資料をその日に作り上げた訳です。
そして、暫く寝かして、また見直す。
やっぱり話がずれる…。これではダメだ…。
資料を作っては、治し、作っては治し。無駄を排除して、シンプルでも。奥深く。2時間の一瞬に耐えられるプレゼン資料を用意する。
そして、その資料を使って、授業が終わった夜中に実際に授業をしてみる。
タイマーを使って、どれくらいの速度で話せば良いか、どの位、補足説明を省略できるか。 実習には何分のマージンとなる時間をを残せば良いのか…。
あぁ…。なんか久しぶりだなぁ。この感じ。
営業に提案しに行く以上にシビアだわぁ。
そして、何となく雰囲気が分かる。
こういうのは、大体資料の端っこに何分。ここまでは、何分。と言う様にメモ書きとかを書きながら自分用の資料を用意しておいたりするものですが、私にはそういうのはありません。
(‘A`) 完全な『カン』
話す、話速の雰囲気が分かれば、後はアドリブで調整できる。
実習用の課題も、ちょっとワクワクするようなモノを用意した。
そして、教える内容は上記5つの全てを網羅した内容
『大人が教えない。お金の生み出し方』
と題して、いざ講義に向かう
このキャッチコピーも、勿論狙った訳です。
大人になってから初めて入る中学校
今回の事を回りに話すと
(`・ω・´) 緊張するやろ?
という様に言われるけれど、全く緊張もしてないし、そもそもHEARTSで普段やってるような内容だから何と言う事は無い。強いていうなら、2時間で完結できるのかという事位です。
そんな事より、公式に中学校の中に車でド━(゚Д゚)━ン!!って、乗り付けて入れた事がワックワクでした。
だって、学校嫌い、勉強嫌いな私がですよ。 卒業してから、入る事も無いと思っていたエリア。それも、子どもの保護者という事ではなく、業務として入ったという事がワクワクなんです。
懐かしい下駄箱の雰囲気。 長い廊下。 木で作られた机と椅子。廊下に張り出された、新聞やイラスト達。どこからとも流れてくる合唱の歌…。
(´∀`) 青春!! ここには青春がある!!
この雰囲気を味わえるのが楽しみだったんです。
入ってみると、視聴覚室に案内されて、既に数名の講師や女性警察官がバタバタしてました。
ザックリ詳細を確認させてもらって、校長先生からのご挨拶があり、後は各担当の子ども達が講師を呼びに来る…という事だそうで、生徒が迎えにくるまで待ってました。
(´・ω・`) ビジネス講師の山下先生。いらっしゃいますか?
(`・ω・´) はーい。いきまーす。
あっ、パソコンの先生ではなく、ビジネススクール講師として行っております。
2人の男子が、お迎えに来てくれました。そしていざ、教室へ行くと。2年1組の教室へ。
既に、2年1組の担任の先生?がプロジェクター等用意しておいてくれたので、持って行ったパソコンと接続して、早々に準備を始めました。
時間が無いと思ってたから、ありがてぇ!( ゚д゚ )
チャイムという名のカウントが始まる。
チャイムが鳴り
(`・ω・´) 起立! 礼! …
とカウントダウンが始まりました。 そして代表の1人の子が、挨拶してくれました。
(`・ω・´) 今日はお忙しい中、お越し頂きましてありがとうございます…今日は●●について教えて頂けるという事で…。
という感じだったように思います。
という事で、最初に私が話した事。
今日は、たった2時間。正確には100分しかありません。
100分しかありませんが、その内容は100分で収まりきれる容量ではありません。だから、結構ハイピッチで進めます。
もし、途中で分からなかったら教えてください。でもそうで無いなら、ガンガン進めます。
今日、君たちに話すのは『お金を生み出す』という事です。
どの職業、どの仕事であっても、とどのつまりがこれです。そして、私以外の他の講座では、それぞれの職種についての講義がされていると思います。
私の講座では、その全てをカバーして、さらに奥深く進めます!
という事で、授業が始まりました。
だって、内容が
- 勤労の楽しさと辛さの体験、それを乗り越えた時の達成感
- 親への感謝の気持ちを育てる
- 対人関係の大切さを知る
- 社会生活上のルールや基本モラルを育てる
- 自分の適性をしり、将来の進路を考えるキッカケとする
って事だから、普通のピッチでは離せない。でも、目的は 子ども達の人生にスパイスを与える事であり、場合によっては生き方の価値観が変わるかもしれない内容だから。
講義の内容はお金を生み出す事。
その方法として、色々ある中で『労働』『投資』『起業』という事をベースに
ド━(゚Д゚)━ン!!ド━(゚Д゚)━ン!!ド━(゚Д゚)━ン!! と中学二年生にわかる様に、それぞれを解説していきました。
特に起業とは何か、経営者とは何か、全く何もない所から、ビジネスを生み出すとは何か…。リーダーとは何か…。
座学で ド━(゚Д゚)━ン!! と喋り倒しました。
とはいえ、座学だけでは、分かりにくいので実習として、実際に働く。チームで動く。問題を解決する。リーダーが組織をまとめる。 これらを 実習の中で体験してもらいました。
2つのチームに分けて。
そして、あえて偶数で分けれる所を、変則的に 人数の多いチームと、人数の少ないチームに分けました。
そんな時に女子から質問が出ました。
半分じゃなくても良いのですか?人数に違いがあって良いですか?
と。
いいんです。あえて人数差を作りました。
学校では、常に Average。平均を求められます。
人数は均等に分散。 グループもそう。
でも実社会で、そもそも『平均』なんてモノは存在しない。
人数差があって、弱者が強者に立ち向かうなんて事は当たり前にあるし、それは人数だけでなく、資金面での違いでも立ち向かう事はある。
何よりそれが普通。
だから、実社会の普通をそのまま適応しました。
この実習では、人数の多い 廊下側チームと、 人数の少ない窓際チームとの対戦となります。
ある課題をクリアしなければなりません。
そして結果として、廊下側チームが ギリギリ勝ちました。
これで、見るべきは勝った負けたなんてモノはどうでもいいんです。もっと大事な事があります。
今、君たちがやったのは、まさに仕事そのものです。
あえて人数差を生み出した事によって、それぞれの特徴が良く出ていました。
人数が少ないチームは、意思伝達に時間がさほどかからない。リーダーの指示が隅々まで行きやすい。でもデメリットとしては、マンパワーが少ないから、その処理にすぐに限界がくる。
これに対して、廊下チームは人数が多い。だから、リーダーからの意思伝達が、全員にいきわたるのに、窓際チームの倍以上もかかりました。 でも、一旦全員が情報共有できた場合、そこから人海戦術で人数の力で押し通せます。
チームを組む過程で、誰をチームに入れるかという事も大事だけど、同時にチームの人数によって、結束までのスピード、管理力、時間、コスト…。こういうモノが全くもって違ってきます。
経営者は、これを正確に読み解き、解決したい課題の大きさ、スピードを考えて、人を配置し、それぞれを動かさなければなりません。
これが、人数差を生み出した理由です。
学校に居る場合は、学校の成績で評価される。
それは、大人数が集う学校というフィールドにいながら、戦っているのは自分自身という個人プレイです。
とどのつまり、自分の事さえ考えておけば良いのです。
でも、実社会では、他人と力を合わせなければなりません。
どれ程の知識を得ようと、どれほどの財を成しても、たった一人では直ぐに限界がくる。
そして、殆どの場合。何もデキない。
だからこそ、人に協力を仰ぐ事が必要であり、自分を助けてもらっている、自分以外の人への感謝も。自分を支えてくれる地域と、そして自分を育ててくれている保護者・両親に対して、感謝する。
感謝をしなければならないのではなく、自然と感謝の念がでる。その事実を分かっていれば。
礼儀正しくしなさい。感謝しなさいと教えられるよりも、なぜそうなのかを体感した方が分かりやすいと思いました。
その後、チャイムが鳴り、2時限目へ突入。
先生が集い始める。
休憩時間に廊下から外の景色を見ている時。
(`・ω・´) あぁ~休憩時間とか要らないから、早く授業やらせてくれないかなぁ…時間が惜しいんだよなぁ。と考えていると、先生が声をかけてくれました。
先生の授業。凄く楽しそうなんですけど!!
ありがとうございます。
でも結構ハイペースでやってるから、子ども達がついてきてるかどうかを確認する間もなくて…。
他の学年の教室は、通常授業をしていますが、2年生は全員が、この職業体験的な事をしているので、担任の先生達は、各教室を回って、子ども達の様子を見たりするのです。
なので、たまには先生が見に来たり、子ども達が授業を受けている風景の写真を撮りにくるというのはあるのですが、後半になると、先生の出没頻度が、徐々に上がり、数名が、一緒に椅子に座って座学を受ける状態に…。
`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ!! いや。さすがに先生達、多くない? (笑)
ちょっと、講座中に突っ込んでしました。
もう、生徒と一緒に聞き入ってくれているから、先生も生徒と見なして、そのまま続行する事にしました。
実習の中で、子ども達が計算している姿を見て
(`・ω・´) えぇっと。これは何をしてるんだろう… ???
( ゚д゚)ハッ! これ給与からの社会保険料の算出だ!!
そうです。
その後、デキる限り、子ども達に リアルさを知ってもらう為に、欲しい給与を書き出してもらって、そこからどれほど税金で持って行かれるかというのをザックリ計算してもらっていました。
後半は、主に、人生の中での時間と言う中で、学生時代という特権を活用する事。一見意味が無いと思えるような学校での教科の全てが、必要である事。 法令・税法について。 そして自分の感情をコントロールする事。言葉だけでなく、行動を起こす為のにはどうすれば良いのか…。 そんな感じの内容と実習を使ってやってみました。
何とか、タイマーのカウントダウンギリギリに全内容が終わり、丁度 チャイムが鳴りました。
結局、先生 数名。もう後半ずっと、私の講座受けてた…。
そして、帰りも、代表の子の挨拶と、玄関先まで子ども達が送ってくれました。
結果どうだったのか…。
その後、その日のうちに、生徒が書いたアンケート結果を送って頂きました。
大好評でした! という事でした。
という事で、そのアンケートの内容の一部ですがご紹介を
- 話は分かりやすく面白くて、合間に実習があってそれも楽しかったです。各仕事の本当の年収や投資などのリアルな事も教えてもらい、将来の事について考えられました。
- 普段の授業ではなかなか知る事のない、社会の仕組みを丁寧に教えてもらい、とても分かりやすかった。また実践的なモノもあって楽しかった。内容濃い! これから生かしていける事が沢山つまった楽しいモノだった。
- お金を得るには凄く苦労する事を学びました。大人になっても勉強は必要という事を知れて良かったです。給与を貰っても、そこから多くの税金や保険で持って行かれるのを知りビックリしました。凄く良い経験でした!
- 経営者と従業員の世界の違いを教えてもらって、自分の中の考えが変わった!自分の将来と、お金のことを学べて凄く為になった。
- 普段、先生からは聞けないようなお金や労働や投資・起業などについて知る事ができ、本当に良い経験になったと思う!
- これから自分が生きていく社会の仕組みや大人になるという事の現実を教えてもらって仲間の大切さや仕事の取組み方学生と、社会人の違いを詳しく知る事ができました。音楽や美術も仕事に役立つという事が分かったので、もっと頑張ろうと思いました。とても為になる話でした!
- 色々な話がきけて、結構面白かったです。どうして勉強するのか、どうやる気を出すのか、少し話は難しかったけど、将来の事について、たくさん考える事がありました。勉強は将来の為にやるとか、目的意識が必要だと学んだ。
- これから大人になって行って仕事をする上で、とても為になる授業だったと思います。将来どんな職業についてもお金は必ず付きまとってくるものだからこそ、その仕組みを今のうちに学んでおくことは大切だなと思いました。
とても充実した2時間だったと思います。 - 大人になって社会に出た時、自由時間というのがとても少ないモノです。それに対して、学生時代は自由時間がとても多く、意欲さえあれば、たくさんの勉強ができます。学ぶという事の大切さを知りました。
- とても勉強になりました! 今やっている勉強は本当に役立つのか?疑問に思っていた教科もありましたが、でも今やっている勉強は必ずどこかで必要になってくるし、役立つという事が分かり、疑問がなくなりました。そして学生時代を有効活用して、自分に役立てたいと思いました。
他にも色々と頂きましたが、ピックアップするとこんな感じで、多くの子ども達が 満足した2時間を過ごしてくれたんだと、安心しました。
きっと、もうこの子達に会う事はないかもしれない。
本当に一期一会だからこそ、今 目の前にいる人に、今という一瞬を幸せに過ごしてもらいたいと思います。
そして、私と2時間とはいえ、私と関わった以上、この子達は、きっと私と出会う前と後とでは、選択した未来が変ったかもしれない。
私という存在は、いずれ無くなるけれど、その想い、その知識・経験が、また次の世代に語り継がれていく事が、
(´∀`) あぁ~ これが生きてるって事だよなぁ
って ほっこり するのでした。
因みに、帰り際に 宿題渡しました(笑)
『この中学校の・全生徒が全科目 85点以上を取り続ける仕組みを作り上げなさい。』というプリントを残して帰りました。
- 現状の問題提起
- 現状で利用できるリソースの書き出し。
- アイデアと解決の設計
- 実現実行させ、それを継続させる仕組みの提案
- 期限は1週間。 提出先は先生へ。
これは、普通では無い事です。 先生へ 学校へ 意見やアイデアを通す企画です。
もし、それが素晴らしいモノであれば、校長先生が採用するかもしれません。
学校の勉強の仕方の根本が変わるかもしれません。
これは、滅多にないチャンスです。 このチャンスを生かすも殺すも君たち次第です。
私の講座を受けた、選ばれし君たちに与えられたチャンスです。
頑張ってください。
勉強ばかりより、たまには こういう思考加速させる事が合った方法が、勉強も楽しくなるよね。
(´∀`) あぁ~楽しかった。